一般社団法人 農業経営支援センター

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AB集落営農アンケート分析報告書

会員 川瀬 国男 <東海第2ブロック>

 

第1章 AB地区の概要

1.地勢

AB地域の水田は、 A川とB川に挟まれ、中央東西に昭和35年(1960年)に建設されたC高速道路が通って耕地を二分し、輪中堤に囲まれた地形の区域である。 D橋付近では、B川底より3.5mの高低落差がある水田の土地形勢である。 B川よりの濾水が非常に多い。 AB橋周辺地域は150mごとに1mの落差がある。

2.排水体系

自然排水はB川からD川を経て、B川という順であるが、一旦洪水となると、D川の水位が高くなり、B川は排水不良となって輪中内に湛水します。 そこで、自然排水を待つと時間を要し、その間に作物は水腐れするので、昭和37年(1962年)に排水機を設置することになりました。
排水面積:180ha
設備  :原動機200PS1台、ポンプ 斜流Q=1.7u/s 口径950mm
@排水体系は、自然排水はB川への落水。D川水位が上昇したときは逆水樋門で水流がせき止められるため、AB地区の雨水は機械排水でB川へ排水している。
A機械排水は、AB自治会館北側の輪中堤より北側南側は地内水田地域1,332,606uの(道路・水路敷、E高校を含む)排水地域である。
B海抜は4.5mから7.76mの水田農地である。現在までの自然排水は、5.1mまでD川水位が5.2m以上に上昇した時は、逆水樋門で自然排水がせき止められる地形
(機械排水は、D川が5.2m以下になり逆水樋門で開放排水ができるまでの排水)

3.樋門管理

○○落江樋門、○○樋門、○○樋門、○○樋門の管理と、○○川及び○○排水路等の浚渫管理費用への一戸1,300円と水田分担金費用での管理体制での継続。

4.協同奉仕作業

@農地保有者協同奉仕作業での川掃除と草刈作業の継続(年2回)

A地区民協同奉仕活動での輪中堤防等の草刈作業の継続。地区住民全員の奉仕活動

5.組織化活動

@○○西、○○東、○○中、○○、○○各農事改良組合

AAB地区水田農業推進協議会

BAB営農組合(役員・規約)昭和60年4月1日、(改正)平成17年7月7日

6.事業及び助成

@農作業委託事業(転作作物栽培作業委託契約)(小麦栽培作業委託契約)

A水田農業構造改革交付金(産地づくり対策交付金)

7.農業者の育成

@認定農家(3農家)

A担い手農業者

第2章 ABの農業実態

1.概要

2.集落農家のアンケート調査結果

調査方法 A農事改良組合が組合員にアンケート調査表を配布し回収
調査日時 平成18年5月22日〜6月20日
配布数 83
回収数 81
回収率 97.6%
調査結果 AB農業者の実態が把握できる。未回収は、無回答で処理した。

(1)農家回答者の実態
AB(○地区、○地区、○地区)は「入作」がない地域である。

@回答者構成比
今回調査に回答いただいた男女別回答比は「男性」89.3%、「女性」2.4%、無回答8.3%である。

A回答者の年齢構成
年齢構成は、「30歳代以下」1.2%、「40歳代」14.5%、「50歳代」25.3%、「60歳代」25.3%、「70歳代以上」24.1%で、50歳代、60歳代、70歳代以上がそれぞれ24〜25%で、40歳代が若干少なく15%弱である。

B農業従事度合
回答者の農業従事度合は、「中心的」な農業従事者57.8%、「補完的」な農業従事者24.1%、「非従事者」6.1%であり、中心的な農業経営者が過半数(58%弱)を占めている。

農業従事の度合いと回答者の年齢構成について、中心的従事者の場合は50歳代,60歳代、70歳代以上がほぼ同じで各々17〜19%、補完的従事者の場合は40歳代、50歳代、60歳代、70歳代以上が比率は低く各々4%〜7%である。非従事者は少なく40歳代が5%である。

農業従事の度合いと回答者の年齢構成       (単位:人)

 

30歳代
以下

40歳代

50歳代

60歳代

70歳代
以上

無回答者

中心的従事者

3
3.6%

16
19.3%

14
16.9%

14
16.9%

1
1.2%

48
57.8%

補完的従事者

1
1.2%

4
4.8%

5
6.0%

3
3.6%

6
7.2%

1
1.2%

20
24.1%

非従事者

4
4.8%

1
1.2%

5
6.0%

無回答者

1
1.2%

3
3.6%

6
5.6%

10
12.0%

1
1.2%

12
14.5%

21
25.3%

21
25.3%

20
24.1%

8
9.6%

83
100%

(2)農家の実態

@耕地の規模
A.水田の耕地規模は、「40a未満」24.1%、「40〜80a未満」24,1%、「80〜120a未満」21.7%、「120〜140a未満」20.5%、「200〜400a未満」4.8%、「400〜600a未満」2.4%、「600〜1200a」1.2%、「1200a以上」1.2%であり、ほとんどの農家が2町歩未満である。




B.畑の耕作面積は「4a以下」42.2%、「5〜9a」12.0%、「10〜14a」8.4%、「15〜19a」2.4%、「20〜29a」1.2%、「30a以上」2.4%であり、4a以下が42%であるが、10〜29aが12%、30a以上が2%である。

A後継者
後継者は、「同居後継者あり(後継者と一緒に住んでいる)」21.7%、「同居後継者未定(一緒に住んでいるが、将来どうなるかわからない)」36.1%、「後継者同居予定(現在は一緒に住んでいないが、将来は戻る予定である)」8.4%、「後継者同居未定(一緒に住んでいないし、将来戻るかどうかもわからない)」13.3%、「後継者なし(一緒に住んでいないし、将来戻る予定もない。または、後継者はいない)」6.0%である。 後継者のいる農家は22%であり、同居または同居予定の農家は45%であるが、同居のめどが立たない農家は19%に達している。

B農業継続の可能性
あと何年くらい農業を継続できるかについては、「20年以上」8.4%、「10年以上」26.5% 「5年以上」14.5%、「3、4年」19.3%、「1、2年」12.0%、「やめたい」9.6%であり、 5年以上の長期継続農家は50%で、1〜4年継続可能農家は31%、やめたい農家は10%である。

(3)農業経営の動向

@農業経営計画
農業経営については、「現状維持」57.3%、「規模拡大」3.6%、「規模縮小」6.0%、「やめたい」19.3%であり、現状維持が過半数を占めている。また規模縮小あるいはやめると答えた農家は25%である。積極的に規模拡大を考えている農家は4%である。

その他には、「田植機械、トラクター、コンバイン作業のみ委託できれば、維持可能」、「委託のため採算が余りにも見合わなければ農業経営を縮小する」等の意見がある。 また、農地面積でみると、「現状維持」61.8%、「規模拡大」12.9%、「規模縮小」6.3%、「やめたい」7.5%であり、「現状維持」農地面積が62%を占めており、「規模縮小」または「やめたい」農地は14%である。また、認定農家の農地面積は全体の28%である。

A現状維持の理由
現状維持の理由は、「農業で生計をたてている」6.4%、「やりがいがある」17.0%、「農地を荒らすわけにいかない」46.8%、「飯米を確保したい」27.7%であり、農地荒廃防止・飯米確保が75%を占めており、農家による農地の保全・維持活動により地域農業が守られていることがうかがえる。

B縮小またはやめたい理由
規模縮小またはやめたい理由は、「集落内で貸す」38.1%、「集落外でも貸す」23.8%、「売りたい」3.5%であり、農地を貸すという割合は62%である。

C集落営農の維持発展
今後、集落の農業を維持発展させるために、必要なことは、「担い手の確保」57.8%、「機械の共同利用」30.1%、「新作物の導入」24.1%、「農地貸借の推進」24.1%、「栽培技術の向上」16.2%である。担い手の確保は58%で過半数を占めている。次に多いのは機械の共同利用で30%、新作物導入、農地貸借の推進と続く。 その他、「組織化(法人化)の推進」、「有能な担い手を育成する」、「今後、農業を発展させるためには、水のつかない水田に、排水機を早く設置する」の意見がある。

D意見・提言

@担い手

○小区画(10a以下)の農地でも耕作してくれる担い手があるとよい。
○集落の担い手が高齢化し、若い人でアトを継ぐ人もいない。
○有能な担い手を育成し地域で支援する。 担い手農業も数年もたたないうちに壁にぶつかるものと思う。
○健康のため元気なうちは自分で作りたいが、新しい施策には協力する。
○AB地内に農業のリーダーになる人を育成しなければ何も出来ない。

A組織化
大規模経営

○生産性の上がる大規模農業への転換が必要である。
○農地の貸借を推進し、大規模農業に移行すべきである。○○市のように。
○土地を含めて参加費(賦課金)の負担を求めて集落営農組織の成立を希望する。
○農協がもっと力をいれるべきである。
○農業の付加価値を高めるために新しい作物を導入も視野に入れた営農改革の研究と推進する体制作りが必要である。

B農業機械

○農業機械の維持・管理・保守点検・操作等の負担が多きため、各農家で農業機械を持つことは無理。
○機械は共同購入のうえで利用が望ましい。

C農地管理

○農業の重要性から食料の確保、環境保全などについて根本的
○農地を個人管理する時代は過ぎ去り、地主(委託者)と耕作者が一体となり、地域の農地を如何に利用・維持管理していくかを検討すべきである。
○農協が主体で農地を管理する。見直しが必要。

D農業基盤施設

○今後、農業を発展させるには、まず水のつかない水田にするため、排水機を早く、新しくする。

第3章 ABを取り巻く環境変化と課題

ABの活性化を図るためには、地区を取り巻く「現状と問題点」を正しく把握し、その内容を分析することによって、改善の基本目標となる「課題」を設定し、それに対する基本的な考え方や方向性を見出すことが重要であり、それをもとに「基本計画」を定め計画を実現していくことが必要である。

1.外部環境の把握

(1)有利な条件
○○高校から、農業専門技術支援や農業情報提供が可能である。
担い手経営安定新法が導入された。
道路網は整備されている。

(2)不利な条件
米価の下落
AB地区の排水機の能力不足対応の整備事業のおくれ。
○○おろしによる風が強いため、路地野菜に適していない。

2.内部資源の把握

(1)強み
ブロックローテーションが継続実施されている。
航空防除が実施されている。
大規模な農地・道路・パイプライン・排水路が整備されている。
大型農業機械による耕作に適している。
農業機械整備の専門家がいる。

(2)弱み
農業従事者の減少や高齢化等が進展
機械化貧乏が多い。
航空防除について、今年度は2回目実施ができない
あとつぎがいる農家は2割しかない。
個別経営をしていたのでは、共倒れになってしまう。
担い手が減少している。
何も対策を講じなければ、担い手がいなくなり、農地が荒れてしまう。

3.農業を取り巻く課題

(1)○○自動車道
○○自動車道△△JBTで24haの農地がつぶれる。
C高速道路の隋道に高さが低いので大型農業機械が通れない。

(2)冠水による被害
水害の多い地区である。
湛水防除事業(平成○○年、現排水機の更改予定)

(3)農村をまもるための組織
AB営農組合(役員・規約)昭和60年4月1日、(改正)平成17年7月7日
営農組合は組織されているが、作業を委託している農家は少ない。

(4)認定農家との共存
認定農家の経営面積増大により問題が生じている。
@畦畔管理・水路管理が難しい。
A農地のきめ細かな管理が難しい。
B一般農家との農作業にズレが生ずる。
C労働力不足

第4章 AB農業の活性化への課題

農地を高度に活用し、地域を養なう元気な農業を作ろう

個人の責任と努力で、農地を守り活用することが、もはや限界になりつつあります。
「いや、わが家はまだまだがんばれる」というお宅もあるでしょう。しかし、隣近所や集落全体を見回してみてください。お年寄りだけで農作業をやってきたが、年々体力が衰え作付面積を減らさざるを得なくなっているお宅、米価の下落で農業機械の買い替えを断念していて、使っているトラクターが壊れたら自力では農業ができなくなるお宅……。このような家が増えて、不作付地や荒廃農地が村中で増え続けています。
会社勤めの後継者が土曜日曜だけ農地をがんばって守ってきたものの、仕事が忙しくなって農地を投げ出さなくてはならなくなります。
このまま推移すれば、あたかも病害虫に取り付かれた果樹のように、初めのうちはぽつんぽつんと枝葉が枯れる程度だったのが、やがて被害が全体に波及して立ち枯れてしまうでしょう。
このような状況は、個別に所有する農地を、それぞれの家ごとの責任と努力で管理し耕作する態勢がもはや限界に達してしまっていて、このままでは集落全体、やがては地区全体が崩壊する危機が迫っていることを表わしているのです。

個別規模拡大も限界に

働き盛りの経営主がいて、隣近所や親戚などに頼まれて農地を借りたり、作業を請負ったりして10ha前後の認定農家も存在します。
しかし、個別に依頼されてバラバラに受託していると、農地が分散して効率が悪化し、作業面積にはおのずと限界があります。また10ha程度の経営面積では農業専業では生活できず、だんだんと兼業への依存を大きくしていかざるを得ず経営が安定しません。また中途半端な経営面積だと後継者を就農させることができず、農外就業に追いやってしまうので、「一代限りの担い手」にならざるをえません。そうなると「地域の農業の将来の担い手」が確保されず、やがては地区の農業が衰退し、農地が荒れ、世帯数がさらに減少し、集落の崩壊が早まるという最悪の道へ進んでしまいます。

農地は地域で高度活用

農地を個別に管理・耕作しようとすると、農業機械・労働力・資金に無駄や過不足が生じ、結局は非効率・不採算・荒廃を招いてしまいます。「集落営農」のしくみづくりでは、地域の人材・資金・知恵を総動員し、これを上手に結びつけて地域の農地を高度活用が重要となります。

 
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