会員・部会の研究報告

会員の研究報告

農産物直売所の改善要素は何か
-3ヶ所の店頭調査に見る顧客の実態と対応・その2-
地産地消部会リーダー 近藤 穣

1.まず苦情・要望を意図的につかむ努力を

私どもの「店に来る理由」調査では「生産者と対話できる」との支持率は3ヶ所の平均でわずか3.2%に過ぎない。消費者も対話のないスーパーのセルフサービスに慣れ、「対話し、生産者との触れ合いを通じ、質問や苦情・要望を述べる」ことに逆に不慣れになっている。しかし、苦情・要望を聞くことなく進んでいけば、必ず消費者ニーズと離れた自己本位の経営になり危険である。
やはり意図的に①当番を決め、生産者自らも売り場に立ち積極的に自分以外が出した商品についても良否など客観的な意見を聞く、②店長・サブ店長と言う人は1日10人とか、目標を決めて消費者と対話する、③従業者は必ず現場で受けた苦情・要望を1定用紙に記入し、店長に日々提出する、④6ヶ月に1回くらいは、簡単な項目のアンケート用紙を用意し、せめて100人くらいの苦情・要望やその他を含む意見を聞く・・・といった努力が必要である。こうした顧客重視の姿勢が目に見え、かつ苦情や提案が日々改善されていくとき、新たな消費者との信頼関係も生まれる。

2.顧客の採点は正直である-値付けも重要要素

私どもが実施した直売店3店、計1,200人店頭調査で店別の比較をすると、店により様々な改善点が発見できる。まず販売諸要素別の良い+1、普通0、悪いー1とした採点を紹介したのが表―1である。+1.00であればパーフェクトと言える。

表―1 要素別の採点

売り場はCが70坪、Aが134坪だが、1坪の販売効率からすると、CはAの4倍近くで、超繁盛店を意味する。両者の差はなにか。Aは広いにもかかわらず「品揃え」がCよりも23%レベル劣る。直売所がスタートして日が浅く、集荷力が不足していた時期で当然と言えなくもないが、事前の生産・集荷体制づくりが不備だった結果である。
Aの「価格」はCに大幅に劣る。昨日の平均販売価格を黒板に示し、適正値入の目安にしていたが、Cは①仕入品を入れる仲卸からも市場情報を取る、②役員がスーパーなどの価格調査もし、高ければ改善勧告する・・・ここらの違いが鮮明に出ている。
鮮度はA・Cドッコイで差はほとんどない。Aがやや勝るのは絶えず陳列の手直しおして、商品の鮮度が引き立つ努力をしているおかげもある。接客は店長中心に教育が徹底しているAがCよりやや勝る。Cは明確な教育機会を持っていないようで、やや劣るのが当然である。駐車場となると、Cは超繁盛店のためとか、「道の駅付帯」という制約もあって、マイナス(狭すぎる)という評価を受けている。集客が遠距離型の直売所にあっては、駐車場は売り場同様に重要な要素でありこの課題を解決しないかぎり、品揃え・価格面が良くても売上高は伸びない。事実Cはここ数年、売上がごく微増と停滞を示している。

3.どの部門が魅力か(複数回答)-日配品の重視

表-2 魅力部門は何か-支持率%

C>Aと「品揃え」の採点に大きな差があったが、基幹となる野菜の支持率はややAが勝る。問題はその他である。Cは惣菜、餅、日配品などで抜きんでた評価を受け、Aを「品揃え」の魅力で引き離していると見て良い。直売所は「野菜中心(地域により、魚、林産品など異なるが、一般的に)」の専門店的な性格を持つが、第2の柱として生産者が自家加工品した品、地元の零細加工業者の商品である惣菜・餅・日配品(漬物、豆腐、こんにゃく、納豆、広くはパン、牛乳・乳製品)などは、精肉や鮮魚に匹敵する高購買頻度商品で、重視することにより品揃えの魅力が大幅アップする。スーパーのばあい売上高構成比で青果・花卉合わせ14.8%に対し、惣菜8.7%、日配18.1%で、合わせれば26.8%となり青果をはるかに凌ぐ。肉・魚はインストアで処理しないと効果が出ない商品で人件費もかかるが、惣菜・日配は別途に主婦主体の加工場で処理しても、販売効果が出る商品で、直売所発展の鍵を握る。地方素材を使い個性も出しやすい。

4.専門店的品揃えとはなにか-奥行きが深い

やや横道にそれるがCの強さの源泉は、専門店的な「品揃えの奥行=選択余地」の広さである。表の通り特定の部門とかカテゴリー(中分類)を見ると、珍しい野菜も多いし、
サトイモ類だけ見ても季節には17品とバラエティがある。米飯だけとっても15品だが
おむすび、赤飯、山菜おこわだけ数えても8~3アイテムと豊富。スーパーをはるかに超える品数になる。餅に至っては16品で、半分は「やわらか餅」であり、スーパーに比し楽に3~5倍のアイテムがある。米も精米機を置き、4~6品くらいの玄米を売る直売所が多いが、Cでは19アイテムで選択幅がすこぶるワイドである。だが、減農薬・減化学肥料、有機栽培の野菜や米があるかと言えば、この面は皆無に近く選択性がない。

表-3 特定分野の品揃え例

多くの直売所では季節の品は8~10人も出荷し豊富であるが、これをもって選択幅が広いとは言えない。サイズの違いも確かに選択性を高めるが、品種、土壌、肥料、その他栽培法などによる美味しさや安全へのこだわり、料理法なども添え、各人の個性を伝えてこそ選択性を高めることになるし、価格競争に走るようなことをなくすことにもなる。次
の表でも「表示」の苦情・要望も多いが、説明的なPOPの必要性が高い。

5.苦情・要望のひろがり

表-4 苦情・要望と対策

3ヶ所で計1,200人のアンケートを取ったものの、店舗に満足している人も多く、実際に苦情・要望として収集できたのは表のとおり470件にすぎない。品揃えが突出し、以下に店舗・駐車>価格>接客>鮮度・品質>表示・販促>営業時間・休日と続く。
一番問題なのは品揃えである。留意すべきことは、「○○を置いて欲しい」という要望にどう対処すべきかである。1人のお客様のニーズがあれば即・商品を生産・販売するというのではなく、「店の姿勢からして置くべきか否か」も、生産者・職員で検討して決めないと、売り場がいくらあっても足りないし、ロスになりかねない。また店の個性も損なってしまう。回転の悪いものでも、POPひとつで売れ筋にもなることを理解しつつ、置けないばあいはその理由をPOPで明記すべきである。

6.午後~夕方の品揃え充実は可

すでに触れてきたが、「午後から夕方にかけての商品不足」は、多くの直売所の欠点であり、営業時間の延長を含め検討しないと、午前中来れない20代、30代、40代の兼業主婦はつかめないし、午後客の満足が得られない。売れ残り-返品のため、午後の補充を嫌う面があるとすれば、①午後品は手数料を下げる、②買い取りにする、③返品は翌日正午ということを認める、④見切り販売も認めてもらう・・・など様々な対応がある。また「不満足」の解消のため、一部地元共選品や、地元市場の仕入品を入れる(20%の以内で)といった工夫も必要である。
営業時間・休日にしても、総ての面ですぐれ繁盛している優良店は、年中無休・午後6時閉店を採用し始めている。
鮮度・品質については、回転前、正午、3時など日に3回くらい、陳列の手直しも兼ねてチェックを習慣化すべきだ。タマネギ、ジャガイモ、その他土もの、果実などが、むしろ日持ちのよい品が安心して見逃し、芽を吹いたり腐ったりしやすい。注意が必要である。
表示・販促は、原産地表示は義務であり、他県もの(輸入品)については、明示するのが原則である。あとは栽培法のこだわり、美味や安全へのこだわり、栄養価、料理法、保存法など、できるだけ簡潔にPOPに表示し、それぞれ個性を演出することが必要である。
イラストなども入れ、楽しさも演出してこそ消費者の関心も増す。
接客では「良くない、もっと教育を」「私語が多い」「レジの間違いがある」といった声が多い。表面上の態度をつくろうのでなく、「最大のもてなしの気持ちで接する」といった心の問題が大切。お客さんあっての商売、顧客の満足、経営の持続・・・といった根本の教育が必要である。もちろん接客マニュアル、苦情処理マニュアルの整備も基本事項だ。
店舗・駐車場の問題は繁盛店になれば起こり得る悩みだが、駐車場のばあい年商500万円に対し1台以上が基準だ。1億円なら20台以上、5億円なら100台以上である。売り場は平台の上に1段乗せて2段にする、さらに足りなければ、平台の下にキャスター付きの土もの用カート(ジャガイモ、タマネギなど売れ筋を陳列)を配置し、立体化すれば、50坪が75坪にも拡大したことになり狭さが補える。駐車場は立体化が困難だ。地続きに確保できないときは、80mぐらいまでなら離れた場所であれば確保し、拡大も図るべきで、繁盛店ならこれが許される。
広い意味で、直売所は食品スーパー、総合スーパー、デパート等と競合しており、これらのチェーン店は「最大の顧客満足」を目指し日々改革しつつ進んでいる。「直売所は別世界」と考えたとしたら、そのとき成長が止まってしまう。  (次回は直売所の諸計数)