会員・部会の研究報告

会員の研究報告

企業等の新規農業参入ガイドQ&A
関東ブロック副ブロック長 角田 智生

Q1 食品会社ですが、新規に農業参入を計画しています。問合わせ先を教えてください。

A.問合せ先は、次のとおりです。

◎ 農林水産省(本省)      経営局構造改善課
東京都千代田区霞ヶ関1-2-1  TEL:(代表)03-3502-8111(内線)5166
農林水産省では出張セミナーを行なっていますので、ご希望の際は農林水産省のホームページ「法人参入支援」からお申込みください。

  • 各地方農政局       生産経営流通部構造改善課

◎ 農地の情報をお探しの場合は

  • 全国農業会議所 農地・構造対策室
  • 農業参入法人連絡協議会事務局
    東京都港区虎ノ門1-25-5 虎ノ門34MTビル5階 TEL:03-5251-3904
  • (社)全国農地保有合理化協会
    東京都千代田区紀尾井町3-29 日本農研ビル内 TEL:03-3263-9361

◎ 参入区域、協定内容、賃料等の具体的な相談は

  • 各都道府県特定法人貸付事業担当部局
  • 各市町村特定法人貸付事業担当部局

◎ 参入にあたっての研修会などについては

  • (社)日本アグリビジネスセンター 推進部
    東京都千代田区永田町1-11-32 全国町村会館西館内  TEL:03-3593-6901
    アグリビジネスセンター農業参入支援ホームページ

◎ 参入にあたっての融資のご相談は

  • 農林漁業金融公庫 融資業務部
    東京都千代田区大手町壱-9-3 公庫ビル  TEL:03-3270-2268

Q2 平成19年農林水産省の企業参入支援総合対策のポイントを教えてください。

A、企業等参入支援総合対策のポイントは、次のとおりです。

  1. 企業参入支援総合対策
    (対策のポイント)
    農地リース特区の全国展開(平成17年9月から)により醸成された機運を活かした農業経営に意欲的な企業等の新規参入を促進するための本格的な事業を開始します。
  2. 企業等農業参入支援全国推進事業
    (対策のポイント)
    農地リース特区の全国展開により醸成された機運を活かし、農業経営に意欲的な企業等の新規参入を促進するため、総合的な広報・相談活動による支援を行います。
  3. 担い手農地集積高度化促進事業
    (対策のポイント)
    規模拡大に伴ってほ場が分散しがちな現場の実態に対応して、担い手に農場をまとまった形で団地化して集積するための支援措置等を新設します。
  4. 特定法人等農地利用調整緊急支援事業
    (対策のポイント)
    企業等の農業参入に当たり、農業委員会が実施した活動事例を全国農業会議所で収集・分析し提供していきます。
  5. 強い農業づくり交付金―経営力の強化―
    (対策のポイント)
    農業生産を核とした加工、流通、販売等への取組を通じたアグリビジネス(創造的高付加価値農業)等に意欲的に取り組む経営体を支援します。また、農業委員会による農地の利用調整、および優良農地の確保のための取組等を支援します。これにより認定農業者等の担い手の育成、および担い手への農地の利用集積の加速化を図ります。
  6. 企業等農業参入支援推進事業
    (対策のポイント)
    農地リース特区の全国展開により醸成された機運を活かし、農業経営に意欲的な企業等の新規参入を促進するため、農地リースが円滑に行なわれるよう支援します。
  7. 新技術活用優良農地利用高度化支援
    (対策のポイント)
    優良農地利用高度化のための新技術の導入を推進する普及組織の活動を支援します。
  8. 企業等農業参入支援加速リース支援事業
    (対策のポイント)
    農地リース特区の全国展開により醸成された機運を活かし、農業経営に意欲的な企業等の新規参入を促進するために、参入に当たっての初期投資を軽減するための支援を行ないます。

Q3 農地リース方式でこれまでに企業等が農業参入している現況を教えてください

A,平成19年3月31日現在の法人数は、下表のとおりです。

  1. 組織形態・業種別
  2. (単位;法人)
    参入法人数
    組織形態別
    業種別
    株式会社
    特例有限会社
    NPO等
    建設業
    食品関係
    その他
    206
    110
    54
    42
    76
    46
    54
  3. 作物別
  4. (単位;法人)
    参入法人数
    米麦等
    野菜
    果物
    畜産
    花き花木
    工芸作物
    総合
    206
    38
    84
    30
    35
  5. 参入市長村別の業種別企業等の農地リース方式による農業参入事例は、また別の機会に紹介します。
  6. 企業等の農地リース方式による農業参入事例は、上記同様に別途紹介します。

Q4 企業等の特定法人と農業法人の要件は、何ですか

A.企業等の特定法人と農業生産法人の要件は、次のとおりです。

特定法人(企業等)の要件 農業生産法人の要件
形態
要件なし
事業
要件なし(建設業者、食品業者等の一般企業、NPO法人等でも可能)
構成員
要件なし
役員
業務執行役員の1人以上が農業に常時従事する者
ここでいう「農業に従事」とは、農業に関連する職務(企画管理業務等)に携わっていればよく、必ずしも農作業に従事する必要はない
形態
農事組合法人、株式会社(公開企業でないもの、有限会社を含む)、合名会社、合資会社、合同会社
事業
農業(農産物の加工・販売、農作業受託などの関連事業を含む)の売上高が過半であること
構成員
  1. 農業関係者(農地の提供者。常時従事者、市町村、JA等)→総議決権の3/4以上
  2. 販売、仕入、農作業委託等法人と取引のある者(加工業者、スーパー、生協、作業委託者等)→総議決権の1/4以下(認定農業者は1/2未満)
役員
  1. 役員の過半が農業の常時従事者(原則年間150日以上)である構成員であること
  2. ①のうち過半の者が農作業に従事(原則年間60日以上)すること
取得できる権利
◎ 賃借権、使用賃借権のみ
取得できる権利
◎ 所有権を含むほぼ全ての権利

Q5 企業等の農業参入できる特定法人貸付制度とは何ですか

A.企業が農業に参入できる制度に、特定法人貸付事業があります。

特定法人貸付事業は、担い手不足等により耕作放棄地や耕作放棄地になりそうな農地等が相当程度存在する区域において、市町村又は農地保有合理化法人(以下、市町村等)が一般企業等に農地を貸付け(リース方式)、その農業参入を図る制度です。
農業リースが可能な区域は、市町村が耕作放棄地などが相当程度あると判断して設定するものですが、リースを受けられる農地はその区域内であれば耕作放棄地に限りません。
具体的には、まず市町村が市町村基本構想に実施区域として、「要活用農地(遊休農地及び遊休農地となるおそれがある農地のうち農業上の利用の増進を図る必要があるもの)が相当程度存在する区域であって、特定法人貸付事業を実施することが適当であると認められる区域」(参入区域)を設定します。
参入企業は、市町村等との間で、同事業の適正かつ円滑な実施を確保するための協定を締結したうえで、市町村等との間でリース契約を設定します。
市町村基本構想に同事業を位置付けた市町村は600市町村、そのうち285市町村が市町村全域を参入区域に設定しています。

Q6 企業等が農業に参入するにはどんな方法がありますか

A. 企業等が農業に参入する場合、農地を利用するかしないかで、次のようにいくつかの方法があります。

① 農業生産法人として農地の所有権を取得して農業経営を行なう方法
② 農業生産法人の要件を満たさない企業等についても、市町村等を経由した農地りース方式に限定して農業参入が認められる方法
③ 農地の権利を取得せず農作業を受託する方法
④ 農地を利用しないで農業(養鶏や野菜工場など)を行なう方法

農地リース方式とは、平成15年4月に構造改革特別区域法のもとで始まり、平成17年の改定農業経営基盤強化促進法により全国展開された特定法人貸付事業により、農業生産法人以外の法人に市町村又は農地保有合理化法人が農地を貸し付ける方式のことです。

Q7農地リース方式で農業参入するメリットは何ですか

A.企業等が農業に参入するメリットには、次のようなものがあります。

① 農繁期・農閑期と本業の繁忙期・閑散期を組み合わせて、効率的な人員配置が可能になります。(例えば、建設業者がらっきょうを栽培する場合、土木工事の繁忙期(10月~3月)とらっきょう栽培の繁忙期(5月~6月、9月)や日本酒製造会社が酒米を栽培する場合、日本酒の仕込み時期(冬季)と水稲の作業時期(春~秋季)がうまく適合し作業員の周年雇用が実現できます。
② 食品事業者の場合、自ら有機栽培を行なうことにより自社製品の付加価値を高めることができます。
③ 農業参入が企業のイメージアップにつながると共に、リースということで土地の賃借料を営業損益としてコスト計上ができます。
④ 農家には企業へ農地を貸すことに抵抗感がありますが、農地リース方式は市町村等を介して農地のリースが行なわれるため、農家の安心感が得られ農地の選択、借入がスムースにいく仕組みとなっています。

Q8 どんな会社・法人でも農地リースが受けられますか

A. 農地リースは形態や業種は問わず、どんな会社・法人でも受けられます。ただし、農地リースを受けるにあたっては、その企業等の業務執行役員のうち1人以上が農業に常時従事することが認められること、市町村等と会社・法人との間で農地の管理、農業用水の利用、協定に違反した場合の措置などを含む協定を結ぶ必要があります。
農業に常時従事するとは、田植えなどの農作業に限定するものではなく、営農計画の策定やマーケティングなどの企画管理業務等も含まれます。なた、常時従事するか否かは、原則として年間150日以上従事するかどうかで判断します。
このように会社・法人が農業を行なえるかどうかは市町村等が判断することになりますので、事前に市町村等と営農計画(事業計画)等についてよく相談しておくことが重要です。

Q9 全国どこでも農地リースを受けられますか

A, 平成17年9月の改正農業経営基盤強化促進法の施行により、全国どこでもむ市町村等の判断で企業等が農地リースを受けることができるようになりました。
具体的には、市町村等が企業等の農地リースが可能な区域をあらかじめ設定することとされていますので、参入希望の市町村はどういう区域を設定しているかについては市町村に問い合わせのうえ確認してください。たとえば、静岡県浜松市の場合は特区の名称が「元気なはままつ農業特区」として平成17年3月28日に設定されています。
農業リースを受けたい具体的な市町村が決まっているのであれば、その市町村に相談することになりますが、市町村が決まっていないのであれば、農林水産省ウェブサイト内の法人参入支援のページにおいて、法人の概要や希望する農地の条件等を登録すると、その情報を市町村に提供し新規参入の具体化を図ることができます。
農林水産省では、広域的に事業展開を指向する企業等が農業への参入を計画する企業等に関する情報を収集し希望市町村へ提供することにより、市町村等の取組を支援することとしているので、農業への新規参入を希望する企業等の情報を募集しています。
全国の市町村の特区の状況については、別紙「地方公共団体または農地保有合理化法人による農地、または採草放牧地の特定法人への貸付事業」を参考にしてください。

Q10 農業リースを受けるには、どのような手続が必要ですか

A、農地リースを受けるには、次の手続が必要です。

① 企業等の希望する農地の条件、農地所有者の意向等を踏まえ、市町村等がリースする農地の調整を行い、農地が決まったら市町村等かその農地を農地所有者から買入れまたは借り受けます。その後、
② 市町村等との協定の締結
③ 農地リース(使用賃借による権利や賃借権の設定)についての農業委員会の農地法第3条の許可、もしくは市町村長の農業経営基盤強化促進法第18条の農用地利用集積計画の公告の手続を経て農地のリースを受けることになります。
なお、協定の内容や契約の内容(リース期間の基準など)等は、市町村が定める基本構想の中に記載されていますので、あらかじめ確認することができます。

Q11 農業リース料と期間は、どのくらいですか

A、 リース料の基準は、各市町村の基本構想において標準小作料を十分考慮し、その農地の生産条件等を勘案して算定する旨等が定められています。このため実際のリース料は市町村等が、リースする農地の調整を行なう中で決定していくことになります。ちなみに、標準小作料は農業委員会が定めていますので事前に知りたい場合には、参入を希望する地域にある農業委員会に問い合わせてください。
リース期間は、各市町村の基本構想に基準が定められていますので、通常はその基準にしたがい市町村と調整の上決定することになります。
一般的には、栽培される作物の種類等に応じ。一定期間(たとえば、概ね3年から5年、永年作物については10年から15年、その他利用目的に応じて適切と認められる機関)、または複数の機関(例えば、3年、6年、9年、12年)をリース期間の基準とする旨が定められています。
また、例外規定により実情に応じた弾力的なリース期間の設定を可能にしている場合もありますので、具体的には市町村に問い合わせてください。
なお、現在参入している企業等における農地のリース機関の平均は5.5年となっています。

Q12 市町村等との協定ではどのような内容を定めるのですか

A、 協定例が各市町村の基本構想において定められていますが、協定の内容は企業等 が正規に農業することを確保するため、次のような事項となっています。
① 企業等の行なう農業の内容および農業を実施する区域
② 企業等が借り受ける農用地の利用に関する事項(貸付契約又は農用地利用集積計画に定めるところに従い、農用地の全てについて農業を行なうべき旨等)
③ 地域の農業における企業等の役割分担に関する事項(道路・水道・ため池等共同利用施設の維持管理に関し企業等が地域の取決めを遵守し応分の役割を担う旨等)
④ 企業等が参入市町村に対して行う協定の実施状況についての報告に関する事項(報告の内容や方法、期限等)
⑤ 協定に違反した場合の措置(協定に違反した場合は、市町村等が是正の指導等を行い指導等に応じない又は是正が見込まれない場合には貸付契約を解除する旨等)
⑥ 企業等が破産手続開始の決定を受けた場合その他企業等による農業の継続が不可能になった場合は協定に違反した場合に該当する旨を定めます。

Q13 農地制度における農用地や農地等とはどういうことですか

A. 農業用地とは、農地と採草放牧地のことです。

農業用地
農地
採草放牧地
農業用施設用地
[定義]
◎ 耕作の目的に供される土地
「耕作」とは、土地に直接労費を加え肥培管理をして作物を栽培すること
◎ 現況主義:農地の判断は、土地の状態に基づいて、客観的に行う(土地登記簿の地目によって区分するものではない)
[定義]
◎ 耕作または養畜の事業のために直接採草、または家畜の放牧の用に供される土地 
[定義]
◎ 温室、畜舎、ライスセンター、農機具格納庫等、農業用の施設に供される土地(農地に該当するものを除く)
[取扱い]
○ 農地として扱うもの
  • 果樹園、桑園
  • 耕作放棄地
  • 温室、ビニールハウス(室内の土地を直接使用して耕作するもの)
○ 非農地として扱うもの
  • 宅地敷地内の家庭菜園
  • 温室(室内にコンクリートを敷き、鉢植栽培を行っているもの)
  • 公園の花壇
[取扱い]
○ 採草放牧地として扱うもの
  • 肥料にするための草取地
  • 牛・馬の放牧地
○ 採草放牧地として扱わないもの
  • 競馬場のパドック
[取扱い]

Q14 農地法を取り巻く農地制度の体系は、どのようになっていますか

A、 農地制度の体系は、次のとおりです。

  1. 担い手による効率的な利用の確保
    (1)農地法
    農地の権利移動について規制
    (2)農業経営基盤強化促進法
    ① 効率的・安定的な経営体の育成に向け、農地の利用集積を促進
    ② 農業生産法人に対する株式会社等の出資制限を緩和
    ③ 体系的な遊休農地対策の整備(知事による特定利用権の設定等)
    ④ 遊休農地が相当程度存在する区域において株式会社等が農地のリースにより農業参入(構造改革特別区域法に基づく特区制度として実施されていたが、平成17年9月より農業経営基盤強化促進法に基づく措置として全国展開)
  2. 優良農地の確保
    (1)農業振興地域の整備に関する法律
    ① 農用地等の整備・保全を含む総合的な農業振興地域整備計画を策定
    ② 保全すべき優良農地の区域(農用地区域)を設定
    (2)農地法
    ・農地の転用について規制
    (3)集落地域整備法
    ・良好な営農条件および居住環境の確保
    (4)土地改良法
    ・農地を効率的な生産基盤として整備
  3. 多様な需要・多面的機能等新たな農地ニーズへの対応
    (1)特定農地貸付法・市民農園整備促進法
    ① 市民農園としての農地の貸付を制度化
    ② 市民農園の開設主体の拡充(構造改革区域法に基づく特区制度として実施されてきたが、平成17年9月より特定農地貸付法に基づく措置として全国展開)
    (2)景観法
    ① 景観と調和のとれた農地利用の促進
    ② 棚田などの良好な農地景観を維持

Q15 農地法の目的と体系について教えてください

A、 農地法の目的と体系は、次のとおりです。

農地法の目的は、農地はその耕作者みすから所有することを最も適当であることを認めて、耕作者の農地の取得を促進し、ならびに土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的としています。(第1条)

農地法の体系は、次のとおりです。

  1. 農地移動の許可(農業委員会〔知事〕による許可、不耕作目的での農地の取得等を禁止〕
  2. 農地転用の許可(都道府県知事〔大臣〕による許可)
  3. 賃貸者契約の解約等の制限(賃貸借は都道府県知事の許可を得て解約等をしない限り自動的に更新。この許可、賃借人の信義違反等の場合以外は行われない)
  4. 小作地所有制限(不在地主等による小作所有地を排除)

Q16 農地の権利移動の許可制度は、どうなっていますか

A. 農地の権利移動の許可制度(農地法第3条)は、不耕作目的での農地(農地のほ  か採草放牧地を含む。以下同じ)の取得等望ましくない権利移動を制限し、効率的かつ安定期に農地を利用できるものが農地の権利を取得できるように誘導することを目的としています。
規制の内容は、農地の所有権を移転し、賃借権その他の使用収益を目的とする権利を設定し、もしくは移転する場合には、農業委員会(住所のある市町村外の農地である場合等には、都道府県知事)の許可を受けなければなりません。許可を受けないでした行為は、その効力は生じません。

主な許可基準は、次のとおりです。

  1. 小作地については小作農が権利を取得すること(小作農の同意がある場合を除く)
  2. 取得後において耕作の事業に供すべき農地のすべてを耕作すること
  3. 農地の取得者が取得後必要な農作業に常時従事すること
  4. 取得の結果、農地面積の合計が原則50アール(北海道にあっては2ヘクタール)以上になること
  5. その農地を効率的に耕作することができること(法人については、この他農業生産法人の要件を満たすことが必要)

Q17 農地法と農業経営基盤強化促進法との関連は、どうなっていますか

A、 農地法と農業経営基盤強化促進法との関連は、次のとおりです。

農地法 農業経営基盤強化促進法
農業者の農地の取得を促進し、その権利を保護するとともに、農地の効率的な利用をはかるため、一筆ごとに規制 効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらが農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するよう、認定農業者制度の推進や農地の利用集積等の措置を講じて、担い手の規模拡大を支援
  1. 不耕作目的の権利取得の防止
    • 農地の権利の設定・移転は、農業委員会等の許可制
  2. 耕作権の保護
    • 登記が無くとも引渡しにより対抗力を付与
    • 期間満了前の一定期間内に更新拒絶の通知をしない限り法定更新
    • 賃貸借契約拒絶の通知,解約等には知事の許可が必要(例外、10年以上期間の定めのある賃貸借)
  3. 農業生産法人以外の農地取得を禁止
    • 事業要件(主な事業が農業)、構成員要件(構成員が農業関係者中心)、役員要件(業務執行役員が農業従事者中心)を満たす法人のみ農地の権利取得が可能(農業生産法人制度)
  4. 優良農地の確保のための転用の規制
    • 農地の転用、転用目的の農地の権利取得は、知事(4ha超は大臣)の許可制
  1. 担い手の明確化
    • 市町村が、農業者が自ら作成する農業経営改善計画を認定し、その達成に向け支援措置を集中的・重点的に講じて効率的かつ安定的な農業経営を育成(認定農業者制度)
  2. 利用集積の促進
    • 農地保有合理化法人が農地を中間保有し担い手へ売渡、貸付(農地保有合理化事業)
    • 市町村が、農地の利用権の設定等を定めた農用地利用集積計画を策定(農用地利用集積計画)
    • 地域で作成された農用地利用規程に基づき、担い手への利用集積、作付けの集団化、農作業の効率化を促進(農用地利用改善事業)
  3. 遊休農地の発生防止と解消
    • 周辺地域の農業の振興を図る上で支障のある遊休農地に対し、その利用について農業委員会が指導、市町村長が勧告、農地保有合理化法人が買入れ等を協議し、最終的には都道府県知事の裁定により特定利用権を設定。また、支障除去に必要な措置命令が可能
  4. 農業リース方式による企業等の農地取得(特定法人貸付事業)

Q18 認定農業者制度とは、どういうことですか

A. 地域の農業を担う意欲と能力のある農業経営を、地域の実情に即して明確化するとともに、政策支援を重点化していくため、

  1. 市町村が、それぞれの地域の実情を踏まえ。育成すべき農業の目標(経営類型ごとの経営規模、所得目標等)を作成します。この目標を目指し、経営改善を計画的に進めようとする農業経営を、その申請に基づき市町村が認定します。
  2. 認定基準は、次のとおりです。
    ① 基本構想に照らして適切であること
    ② 計画の達成が確実であること
    ③ 農用地の効率的、総合的な利用を図ること
  3. 認定農業者への支援措置は
    ① 農業委員会による農用地の利用集積の重点支援
    ② 農林漁業金融公庫等からのスーパーL等の長期低利の資金の融通
    ③ 税制上の優遇措置
    ④ 経営管理向上などの研修の実施

等の支援政策が重点的に講じられています。 

Q19 農地保有合理化法人は、どんな事業を実施しているのですか

A. 農地合理化法人は、農地保有合理化事業を実施しています。
農地保有合理化事業は、農業経営の規模拡大、農地の団地化その他農地保有の合理化を促進するため、農地保有合理化法人が離農農家や小規模縮小農家等から農地を買入れまたは借入れし、当該農地を担い手農家に売渡し、または貸付けする事業です。
現在、農地保有合理化法人は、都道府県農業公社47、市町村農業公社160、市町村18、農業協同組合386が設置されています。
農地保有合理化事業には、次のような種類の事業があります。
①  農地売買等事業→規模縮小農家等から農地を買入れ等をして、一定の条件を満たす規模拡大農家に売り渡し等を行う事業
② 農地売渡し信託等事業→離農農家等から農地の売渡信託を引受け、当該農家に信託引受け農地の一定評価額を無利子で貸付けを行う事業
③ 農地貸付信託事業→農地所有者等から農地の貸付信託の引受けを行う事業
④ 農業生産法人出資育成事業→農業生産法人に農地を現物出資、または農地の仲介と合わせて金銭出資を行い、出資により取得した当該法人の持分を他の構成員に計画的に譲渡する事業
⑤ 研修等事業→農地売買等事業により保有する農地を、新規就農者の研修ほ場 や地域特産物の実証ほ場等に活用する事業

Q20 農業委員会系統組織とは何ですか

A、 農業委員会系統組織は、市町村農業委員会、都道府県農業会議。全国農業会議所の3段階から成り立っています。

  1. 市町村農業委員会は、「農業委員会等に関する法律」に基づいて市町村に設置が義務付けられている行政委員会です。農業者の代表である農業委員で構成されており、農業委員は公職選挙法を準用した農業者の選挙で選ばれた選挙委員と、市町村長から選任される選任委員からなっています。
  2. 都道府県農業会議は、行政機関である市町村農業委員会とは異なり、「農業委員会関する法律」に基づいて都道府県内に設立される農業団体です。
    原則として市町村農業委員会の会長が会議員になり、その会議員と都道府県内の各種農業団体の代表、学識経験者等の会議員で構成されています。
  3. 全国農業会議所は、都道府県農業会議をはじめ全国農業協同組合中央会をはじめとした全国段階の農協連合会、農業の改良発達を目的とする団体、学識経験者を会員とする農業団体です。

    農業委員会は全国で2,351あり都道府県農業会議は47設置されています。