先進農業探訪

先進農業事例

干ばつに苦しむ農業国の実情
-オーストラリア農業事情の視察-
農業経営支援センター副会長 出穂 靖弘(関東ブロック)

1.はじめに

今年1月27日から2月3日まで全国農業会議所と全国農業新聞が企画した「2007年度オーストラリア農業事情視察団」に参加した。この視察団には、主催者の全国農業会議所の職員一人のほかに北海道から鹿児島県までの都道府県農業会議の職員5人、市町村農業委員会の委員5人、農業者4人と筆者の16人が参加した。
 世界の農産物輸出量に占めるオーストラリアの割合(2001年)は、羊毛74%(第1位)、牛肉26%(第1位)、小麦13%(第3位)と、世界有数の農産物輸出国として位置づけされている。さらに、2003年に牛海綿状脳症(BSE)感染牛が発見された米国産牛肉を日本や韓国が輸入を禁止したことや、ガソリン代替燃料エタノールの原料となるトウモロコシ価格が上昇したことでトウモロコシの作付面積が大きく広がり、その影響で小麦などのほかの穀物の供給不足への警戒感が高まり、昨年末の米国市場での小麦価格は2倍近く高騰したことなどから、平年ならばオーストラリアの農業は順風に帆をあげる勢いであったであろう。
ところが、オーストラリアの農業は2002/03年、2006/07年と引き続き干ばつに襲われ、深刻な打撃を受けている。小麦などの穀物やブドウやかんきつ類などの果実は大幅な減産となり、家畜の飼料不足を補うため穀物を輸入する事態にまでなったそうである。オーストラリアにおける小麦の作付面積は、耕地面積全体の約5割を占める重要な作物であるが、2002/03年には50%以下に落ち込み、2006年には62%減まで影響を受けた。
このような農産物の供給国における環境変化によるトウモロコシや小麦などの穀物の価格高騰や供給量不足がパンや麺類、家畜の飼料などの値上げをもたらし、われわれ日本人の消費生活や畜産にも少なからず影響を与えている。これまで日本の農家は高い関税で厚い保護を受けてきたので、海外の農産物供給国の生産体制・動向にほとんど関心を持つ必要がなかった。しかし、自由貿易協定(FTA)や世界貿易機関(WTO)による農産物市場の自由化という潮流から逃れられず、早晩輸入農産物と競合することになり、生き残るための戦略策定が必要となる時代が来るであろう。
筆者はこれまで7年間、1年のうち半分以上を開発途上国における製造業指導者の人材育成に携わってきた。今回のオーストラリア農業事情視察が、世界の農業事情の実態を把握し、日本農業の国際化支援の一助になる契機となれば、と期待している。

2.オーストラリアの農業の概要

視察出発の前に下準備としてホームページ、新聞切抜きファイル、文献などからオーストラリアの農業の概要を調査した。

(1) 地理および気候

オーストラリア連邦は世界最小の大陸、オーストラリア大陸とタスマニア島などの島に位置するが、国土面積は日本の約20倍に相当する。大陸の内陸部を中心に国土の70%が乾燥気候で、北部は熱帯雨林気候で夏の12月は雨が多く、4月~8月は乾燥が激しい。
我々が訪れる東部沿岸地帯は温帯湿潤気候で人口とともにシドニー、メルボルン、ブリスベンなどの大都市はこの地域に集中している。平年は東南貿易風の影響で夏季に雨が多いが、ここ数年干ばつが頻発し農業のみならず国民の生活に大きく影響を与えている。

(2) 農地面積と農家数

国土面積の約6割が農用地で、この広さは米国を上回り、日本の約90倍に相当している。しかし、降水量が少ないために、耕地面積は農用地の11%(他の情報では6%)に過ぎず、その大半は家畜の放牧地になっている。農場数は年々減少傾向にあるが、1農場あたりの経営面積は拡大傾向にあり、1999/00年では日本の約2,600倍の約4,000 ha(ヘクタール)となっている。
オーストラリアの農場数は第1表に示すとおり、2001/02年が141千農場に対し、2004/05年は130千農場になり11千農場7.8%減少したが、日本における販売農家数の減少率はそれ以上に大きい。すなわち、日本の販売農家数は2001年の229万農家に対し、2005年は196万農家と33万農家14.4%減少している。第1表に示す経営形態別農場数においてオーストラリアで最も多い農業の経営形態は肉用牛農場であり、全体の28%を占めている。次いで穀物生産と畜産(肉用牛、羊)の複合経営で13%を占めている。

(第1表)経営形態別農場数 (単位:農場)
  00/01 04/05

構成比
(04/05)

肉用牛 35,051 35,979 27.7%
穀物・畜産 15,917 17,195 13.2
13,056 12,956 10.0
穀物 16,314 12,719 9.8
酪農 12,918 9,881 7.6
肉牛・羊 9,104 8,309 6.4
合計 140,516 129,934 100

(3) 農家の位置付け

オーストラリアの総人口、総就労人口ともに日本の15%に過ぎない。総人口に占める農業人口の比率は日本が3.4%に対してオーストラリアは4.5%、総就労人口に占める農業就労人口は日本が3.6%に対してオーストラリアは4.4%とオーストラリアがやや高い(2002年)。

(4) 作物別の作付面積

耕作地の作物別の利用状況は小麦が最も多く、オーストラリアの耕作地全体の50%を占めている。次いで大麦、菜種(カノーラ)と続く(第2表)。
02/03年度の小麦の減少は干ばつの影響である。コメも同様に干ばつで栽培を放棄した農場が続出し大きく減少し、04/05年度もほぼ横ばいのままとなった。

(第2表)作物別作付面積(年度:7月~6月) (単位:1,000 ha)
年度 00/01 02/03 04/05
小麦 12,141 11,170 13,399
大麦 3,454 3,864 4,646
菜種 1,459 1,298 1,377
















コメ 177 46 51

(5) 家畜の飼育頭数

第3表に家畜種類別の頭数または羽数を示す。02/03年度は干ばつの影響でと畜が進み、家畜頭数が減少したが、04/05年度にはほぼ回復している。

(第3表)家畜種類別飼育頭数または羽数 (単位:1,000頭または1,000羽)
年度 00/01 02/03 04/05
肉用牛 24,504 23,615 24,725
乳用牛 3,217 3,049 3,056
 
110,928 99,252 101,125
うちラム 27,969 25,858 29,178
2,748 2,658 2,538
採卵鶏 14,276 12,913 13,175
食用鶏 77,231 70,913 62,728

(6) オーストラリアの農産物輸出

先に述べたように、オーストラリアの農地面積は日本の約90倍もあるにもかかわらず、総人口は日本の15%しかいないので、輸出依存度が高く、作目ごとに異なるが、全体では生産量の約60%が輸出されている。
2005/06年度でオーストラリアの農産物輸出の実情を見てみる。農産物輸出額の構成比は、農産物50.5%、畜産物22.8%、酪農品9.3%、ウール9.2%であり、個別産品別では、牛肉15.4%、小麦11.9%、ワイン10.0%、ウール9.2%となっている。
輸出先別には、北アジア(日本、中国、韓国)向けが40.0%、東南アジアが14.8%、北米が13.8%、ヨーロッパが9.9%であり、アジア向けが過半を占めていることになる。国別には、日本向けが全輸出額の18%を占め、次いで中国向け11.2%、米国向けが10.8%となっている。日本はオーストラリアにとって最大の農畜産物輸出相手国である。

(7) 日豪、経済連携協定の交渉開始

日本とオーストラリアの自由貿易協定(FTA)を核とする経済連携協定(EPA)の交渉が昨年の4月に始まった。日本にとって初めての農業大国との交渉である。日本の農水省は豪州産農産物の関税が撤廃されると大きな打撃を受けるとして強くけん制しているが、経済界は鉄鉱石や石炭などの天然資源が安定的に供給されるようになり、工業製品の輸出増にもつながると期待している。
これに関連して東京大学大学院教授伊藤元重氏は「オーストラリアとの自由貿易協定を農業団体が反対しているが、中国はそれに積極的な姿勢を示している。日本の人口の10倍以上である中国にオーストラリアの農産物が供給されれば、日本は果たして十分な食糧を確保できるだろうか」と講演で問題を提起している。昨年12月オーストラリアのラッド首相が就任後初めて、EPA交渉の第4回会合が2月末に日本開催され、農産物の貿易自由化や鉱工業品の関税の撤廃・削減について話し合われた。
参考までにEPA交渉の注目点となる農産物と工業製品の関税率を第4表に示す。

(第4表)EPA交渉の注目点となる関税率
日本の農産物関税 豪州の工業製品関税
牛 肉 50 % 乗用車        10 %
乳製品      218 % 自動車部品    10 %
小 麦     252 % フォークリフト 5 %
砂 糖     379 % ビデオカメラ   5 %

なお、牛肉の関税は昨年8月に緊急関税措置が発動され、38.5%から50%に引き上げられた。
また、日豪EPAの交渉開始を前にして農水省が「EPOが締結され、豪州が日本に輸出している主要品目(牛肉、乳製品、小麦、砂糖)の関税が撤廃されると、牛肉や乳製品の生産額は半減し、砂糖と小麦はほぼ壊滅的な影響を受ける」とコメントしていることが06年12月2日付日本経済新聞に掲載されている。また、“日豪の「農業力」”として次頁の第5表も掲載している。

3.干ばつでイネ作は大幅減少したが

オーストラリアでは、コメ・小麦・野菜・果樹の4生産農場、酪農・畜産の2農場、シドニー中央青果市場、遺伝子組換え倫理ネットワーク・農畜産業者協会・食肉畜産業者事業団の3団体の計9箇所を訪問した。

(第5表)日豪の「農業力」
  日 本 豪 州 日本との比較
国土面積(100万 ha) 38 774 20 倍
農用地面積(100万 ha) 5 447 89 倍
生産者1戸当たりの農用地面積(ha) 1.8 3,385 1,881 倍
国民1人当たりの農用地面積(ha) 0.04 22.9 573 倍
農林水産品の輸出額(億円、対相手国) 46 6,048 131 倍

成田からメルボルンに到着後のオーストラリアでの第1歩は、バスで約500km北のニューサウスウェールズ州(NSW)のフィンリー(Finely)に向い、その近郊にあるコメ、小麦、野菜の農場を視察することから始まった。その後、メルボルンまたはシドニー市内にある農業関連3団体を訪問、シドニー中央青果市場を見学、そしてシドニー西方の郊外に広がる農場地i帯にある果樹、畜産、酪農の農場を視察した。
それらの中から特に印象に残ったいくつかの話題を紹介しよう。先方から日頃聞きなれないエーカーや豪州ドルを単位とした説明がしばしばあったが、それを頭の中で我々の尺度に換算しながら理解していった(・1エーカー=約4千平方メートル=0.4 ha  ・約100円で1豪州ドルに両替される)。

(1) 空から播種、施肥するコメ農場

約2,000 ha 規模の「Prairie農場(フィンリー)」は、コメ100~120 ha 、小麦400 ha 、大麦100~
150 ha などを栽培している。現在、広大な水田に昨年10月初めに種を空から飛行機で蒔いた稲が穂を出している状態であり、4月の始めに収穫する予定である。途中、空から窒素肥料を散布している。
栽培しているコメはAmaroo種という品種で、サウジアラビアやヨルダンなどの中近東に輸出される。日本向けにコシヒカリを作っている農場もあるが、収穫が少なく、倒れやすいので作らない。
オーストラリアの米作農家は干ばつの影響で約2000農場から31農場に減少したが、当農場は地下30mからの自噴水をディーゼルでくみ上げているので継続できている。
売上は約100万豪州ドル/年で、そのうちのコメの売上は約40%である。参加者の一人が1本の穂の米粒を数え「自分のところでは180粒あるが、73粒しかなく少ない」といっていた。日本のきめ細かい育て方に比べてオーストラリアではラフなことなど色々理由が考えられるが、穂を採取した場所が水田の端なので、先に述べた空から撒いた肥料がかかっていないのかもしれない。

(2) 干ばつで小麦から畜産に転換

「Burnima Pastoral company(フィンリー)」は約220 ha所有し、45頭の肉牛を飼育している。近隣の小麦農場の平均農地面積は1600 haといわれているから小規模農場である。2年前までは小麦と大豆を輪作で栽培していたが、干ばつでほとんど作付けができなくなった。
写真は「Central Pivot」と呼ばれるアメリカ製の自走式潅水機である。近くの川からパイプラインで水を引いて写真の右側の軸の部分にくみ上げる。この軸を中心に全長約400mのパイプが水を噴霧しながら回転する。30時間かけて1周し、約50 ha に潅水する。しかし全農地を潅水するには水が足りないため、大豆を作付けするのは難しく、小麦も品質が低く家畜の飼料に向けている。
今後もこのような干ばつが続くことが予想されるので、従来の小麦・大豆中心からアンガス種(肉用種)中心に転換し、現在の45頭の規模を100頭まで増やすことを計画している。


半径400mの農場に水を撒く自動潅水機

(3) スプリンクラーを張り巡らす野菜農場

「Kelly Bros Market Gardeners農場 (フィンリー郊外)」は、メルボルンで150年前から農業を経営していたが、20年前にこの地に引っ越してきた。600 haの農場のうち、400 haで野菜を栽培し、200 haで肉牛を飼育している。
従業員は、農場で冬場50人、夏場30人、梱包などを行う工場で15人が働いている。これらの従業員は、メルボルンで生活しているラオス、カンボジアなど東南アジアからの移民を呼び寄せている。真夏の現在は、タマネギ150 ha、カボチャ100 ha、パーソニック(根野菜)などを栽培していて、1日の収穫量は20~50トンである。夏以外にはキャベツ120 ha、レタス40 haなどを栽培している。これらの野菜はメルボルン、シドニー、ブリスベンなど大都市のスーパーマーケットに販売している。


自動機械で袋詰めされるタマネギ

農場に必要な水は、年1,800百万リットルの灌漑用水利権を日本円換算で約5千万円払って取得し使用している。その水をすべての農場に数メートル間隔で張り巡らされたスプリンクラーで噴霧している。

(4) 中央青果市場内の生産者直販市場

オーストラリア最大の都市、人口430万人のシドニーの近郊にある「Flemington Mar-kets」という中央青果市場を見学した。
この市場はNSW州農業大臣直轄の公的機関が運営していたが、2001年から民営化され、年間7億豪州ドルを超える青果物などが取引されている。41 haの広大な敷地の中に仲買業者(Agent)市場、生産者直販市場、花卉市場、バナナ市場の他、蚤の市(フリーマーケット)もある。
その中で特に興味深かったのは生産者直販市場である。最近日本でも農産物の生産者直販所が次々と設置されている。設置場所は主として生産地であるが、都市にも作られている。しかし、主として消費者を対象に小規模な店舗が設置されているので集客力に限界がある。シドニーの直販所は仲買業者、小売店や外食産業などの業者、一般消費者などであろう大変な賑わいであった。
直販市場はおよそ150m×200mの建物の中に、生産者所有の400区画と賃貸の300区画、計700区画がある。賃貸区画を1生産者が1日賃貸料60豪州ドルで、週2日間借りている。
日本の野菜農家が低い収益性に苦しんでいるなかで、中国を中心とする海外からの生鮮野菜の輸入は、安全性に対する不安から減少傾向にあるとはいえ年間100万トン近くにも及ぶ。このような厳しい経営環境を解決するために、関税や補助金で農家を保護するだけでなく、日本でもシドニーにあるような生産者直販卸売市場を開設したらいかがであろう。また、このような直販市場に農家が出店するにはある程度の規模が必要であることが認識されるようになり、遅々として進まない農家の大規模化、集約化が実現していくであろう。


活況を呈する生産者直販市場

仲買業者市場は137の業者が区画を持っている。花卉市場も生産者直販で96区画ある。バナナ市場は国産のバナナを扱っているが、フィリッピン産のバナナとは価格で勝てないので国内向けだけである。

(5) 「NSW farmers association」訪問

「NSW farmers association」はノースサウスウェルズ州の農畜産従事者の代表機関である。
「日本は農産物輸出の20%を占める重要な国であり、NSW州からは牛肉が最も多く、ほかに小麦、果樹などである。農産物の75%は輸出向けであるが、農薬や飼料が倍近く、原油が約70%値上がりした上、干ばつが続いて生産量が激減し、農家の収益は非常に厳しくなっている」などの説明があった。

(6) 「豪州食肉家畜生産者事業団」訪問

① 「オージー・ビーフ」と「red meat」
シドニー市内にあるmla(MEAT & LIVE-STOCK AUSTRARIA、豪州食肉家畜生産者事業団)を訪問して、日本人女性職員から説明を受けた後すぐに、筆者は「オーストラリアの食肉のことを日本語カタログで『オージー・ビーフ』『オージー・ラム』と書いてあるのは有機農法の飼料で育てた牛肉などのことをいい、英文カタログに『red meat』と書いてあるのは牧草のみで育てた脂身の少ない肉のことを意味するのか」と質問をした。「オージー」とはAustralianを意味する「Aussie」のことであり、それを「有機」と捉えたのは筆者の誤解であったことにすぐに気が付いたが、その女性職員は「有機食品であればその認証が必要であるが、オージーとは有機食品を意味するのではなく、BSEや口蹄疫に無縁で、安全性と信頼性に積極的に取組んで飼育した食肉のことである」というような意味の説明があった。また「『red meat』とは、牛、羊、ヤギのことであり、鶏、豚の肉を『white meat』という」と説明があった。

② mla事業団のFTAに対する考え方
日豪の自由貿易協定(FTA)についてmlaジギョウダンノ考えを質問したところ、FTAの日本の畜産業に与える影響について十分配慮した上で「mlaも生産者の団体であるから、日本の生産者の気持ちはよくわかる。自由化の前にもこの問題はあった。両国の生産者が話し合って日本の牛肉のシェアを維持しながら、日本の消費者に喜んでもらえるようにすべきである」と語った。
オーストラリア産牛肉は、本来の低脂肪でヘルシーな赤身肉すなわち牧草飼育牛肉  (grass fed beef)に加えて、日本人好みの米国産タイプの穀物肥育牛肉(grain fed beef)も増やして日本の牛肉需要のおよそ3分の1を支えているが、「日本産の肉には勝てない」とも語っていた。

4.視察を終えて

メルボルンとシドニーを拠点に、オーストラリアの農業地帯をバスで1500km近く走ったであろう。道路の左右に広がる風景は広大な牧場というよりも、干ばつの影響らしいが枯れ草に近い色をした草原の連続である。ところどころに、牛、羊、馬を見かけるが人の姿は全く見られなかった。小麦や大豆などの畑もあるはずであるが、小麦の栽培期間が5月から12月までのためか、耕作地はほとんど見られなかった。干ばつで小麦や大豆の耕作を放棄し、その畑を移動しながら牧畜だけで生活している農家が増えているようである。
在日オーストラリア大使館のビル・ウィザース農業担当参事官は、昨年の7月に「オーストラリアにおける生産者補助率(PSE、農業従事者の収入のうち政府から給付される補助金の割合)を干ばつ援助金のため4%から6%に増額した。ちなみに、日本の生産者補助率は55%です」と講演した。しかし、今回の視察で何らかの被害にあった数軒の農家に質問したが、干ばつに対する補助金はもらっていないという返事であった。しかし、我々が訪問した農業者の皆さんの表情は明るく、経営で苦しんでいる様子は全く伺えなかった。さらに果樹農家や畜産業者が農地を借りて事業を行っていたように、農業がビジネスとして成り立っているようであった。
このようなオーストラリアの農業の実態を見て、同行した視察団の農業関係者はどのようにとらえ、日本の農業の指導し、運営をされていくであろうか、興味深い。